明徳義塾、撃沈

今日のニュースで知ったのですが、
高知県代表の明徳義塾高校が、部員の不祥事を投書によって暴かれて、
出場を辞退することになりました。


明徳義塾と聞くと、13年前の星稜高校戦で、
ヤンキース松井秀喜を全打席敬遠で歩かせて1点差の勝利をもぎとった結果、
物議を醸した件が思い出されます。
そのころ確か小学生高学年ぐらいで、
夏休みに高校野球を見るのは半ば習慣になっていたものですから、
この試合もリアルタイムで見ておりました。
とりわけ、超高校球の怪物バッターとして名をはせていた松井の存在は、
野球自体に特別思い入れのない(というかむしろ嫌いな)小学生の僕にすら強い印象を与え、
そして僕も彼を応援していた記憶があります。


どっちが正しいか、かなりの議論がなされたように思います。
多分、この議論自体は結論なんか出ないものでしょう。平行線をたどりそうな感じです。
「敬遠を指示され、ボールを投げざるを得なかったピッチャーがかわいそう」
「校歌斉唱が『帰れコール』でかき消された明徳ナインがかわいそう」
「ヤジを飛ばしたり、メガホンを投げ入れた観客が一番悪い」
「松井の紳士的な態度がすばらしかった」
等々、外野の人々にいろいろ言われてました。
多分、選手達はそんな事を考えたり感じたりしてる場合じゃなかったでしょうね。
とにかくその瞬間瞬間を精一杯プレイする事だけを考えないと、次の瞬間に負けるわけですから。


小学生だった僕がこの事件を見て抱いた正直な感想は、ただシンプルに
明徳義塾、汚ねぇ」
でした。10年以上経った今でも、その感情そのものは変わってません。
考え方がどうとかじゃなく、当時の感情が、強い思い出として残っているという意味で。
ルールがどうこうなんて、まるで関係なく、思いました。単に、「汚いことをしたなぁ」と。
明徳義塾という名を聞くと、この事件のことが真っ先に思い浮かびます。
というかこの事件のことしか思い浮かびません。
こないだ、この高校で傷害事件かなにかが起きたときも、久しぶりに思い出しました。
それほど幼い僕にとって強烈な印象を残してくれたのです。
明徳義塾=汚い事を『した』という事を見せ付けられたトラウマ。


今日のこの事件のニュースを見て、まっさきに驚いたのは、
当時敬遠を指示した監督が未だにこの高校の監督をしていたこと。
13年って長いよ。
たしかあの試合の直後に明徳は負けて、
監督は辞任を申し出たけど受理されなかったというようなニュースを見た記憶があります。
指導方法を学校側が評価してるんだなぁ、と思いました。
学校としては、甲子園で勝って名を挙げることができさえすればそれでいいという立場なんだな、と。
商売ですからね。


まあ、以下はそういう幼い頃の先入観が僕に根強く残っているという前提で書きますが。
非常に辛らつな文章ですので、反転しておきます。


今日ニュースで見た明徳義塾・馬淵監督の弁明というか釈明というかいい訳というか、
とにかく最低だったと思います。軽蔑すべき態度だったと思います。
「自分もつらいけど選手はもっとつらい」
って、何言ってんですか。
「お前達を守ろうとしたけど駄目だった」
って、本当に何言ってんですか。


あなたがつらいのは、タイミング悪く投書で隠蔽がばれたから(結果的に辞退となって)つらいんでしょう?
守ろうとしたって、何から守ろうとしたんですか。
隠蔽がばれることの影響からまもろうとしたってことじゃないんですか?
高野連の目から守ろうとしたってことじゃないんですか?


今回の件は、
「選手が出場できるよう頑張った」ことと、
「ばれないようにがんばったけど駄目だった」ということが、
同義になってしまっている。


「野球さえできればそれでいい」ってことですよね。それって。
松井事件のときは教育の一環としての高校野球のありかたという議論が起きましたが、
形態が違うとはいえ、この監督はまたしても同じことをして、
そして前回は試合に勝ったけど今回は失敗してしまったような気がします。


そうでなくても松井事件の時に、
ピッチャーはじめ当時の明徳のナインに心の傷を負わせてしまった監督。
のうのうと今年まで監督を続けてこられた事自体、先にも言いましたが、驚きです。


と、今回の件にこういう感想を抱いている僕だから、
出場できなかった選手に対しても実はあまり同情心がわきません。
選んだ学校(ニアリーイコール監督)が悪かったね、と。
しょうがないじゃないですか。感情だから。


出場辞退に選手は「なんでー」と叫んでいたそうですが、
なんでかって、部員が一丸となって喫煙を許さない空気をつくらなかったからですよ。
いじめを見て見ぬふりをしていたからですよ。
「なんでばれたの」という叫びだとしたら、それこそ同情する余地はないですけど、
そうじゃないことを祈ってます。