光文社「江戸川乱歩全集」の「化人幻戯」を静岡のホテルで読了。
これで、刊行されている全集のうちの成人向け短編・長編は読破しました。
少年向きはまだ5編ほど未読の物が残っていますが、
まあ、読者が毎年変わっていく少年ものは各話それほど変わらないので、
そんなに急いで読むこともないかと。

ってことで、キリがいいのでここまで読んだ中での
お気に入りの話のピックアップなどしてみようかと。

一編一編感想付きで書けたら良かったんだけど、数が多いし次々読んでたので
その暇がありませんでした。
かろうじて各話ごとに満足度をA+〜D−で記録しておいたので、
評価Aの奴を中心にご紹介。

A+

  • 魔術師

最初に読んだ作品。そういう意味でも印象深い。
いわゆる通俗長編小説で、乱歩の代表作とは知らずに読んでました。
これを最初に読んだのは運がよかったんでしょうね。
ミステリー小説なんてあまり読んだ事もなかったし、犯人も適度に意外で楽しめました。

  • 吸血鬼

二番目に読んだ作品。魔術師から時間軸が繋がっていて、読みやすかった。
奥さんのエピソードとかも通じてるし。
不気味さが増してますが、これも大衆受けするタイプの小説で、
乱歩は成人向けではこんなのを書いてたんだなぁ、と改めて認識しました。
終わり方も印象的で、よかったです。好きな終わり方。

  • 化人幻戯

読み終えたばかり。世間の評判は芳しくないみたいですが、僕は非常に楽しめました。
ずっと乱歩ばっかり読んできて、これは乱歩らしくない作品の一つです。
還暦を迎えてからの作で、明智小五郎も50歳という点でもなんとなく落ち着きが感じられました。
それだけに最後の明智の「行動」が、犯人も言っていたように意外でもあり頼もしくも思いました。
動機が分からない殺人はスリルがあって好きです。

A+はこの三作。

ちなみに、この三作から僕の好きな作品の傾向をあげてみると、

  1. 典型的な通俗小説
  2. 終わり方の印象的な作品
  3. 乱歩らしくない(いわゆる本格推理小説に近い・趣向が少々特殊等)小説

の三つに分けられるようです。

1番目の例として、「魔術師」・「吸血鬼」・「黒蜥蜴」・「白髪鬼」
2番目では、「吸血鬼」・「人間椅子」・「何者」・「十字路」・「黒蜥蜴」
3番目では、「十字路」・「三角館の恐怖」・「偉大なる夢」・「幽霊塔」

などがあげられます。

続きは後日。